最後の晩餐
シリア正教のエキュメニズム
―他教会とのエキュメニカルな関係と対話の現在―
   この章はSyriac Orthodox Resources Ecumenical...を訳したものです。

 

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東方正教会とシリア正教会の関係に関する、アンティオキア正教会の共同声明
1991年11月12日

「主教会議及び総主教からの手紙」
アンティオキアの聖なる総主教座の、神に守られた全ての子供たちへ

親愛なる皆さん、

 皆さんはシリア正教の姉妹教会どうしの何十年にも及ぶ継続的な相互努力について、お聞きになったことがあるかもしれません。この努力は、教義レベルあるいは教会生活のレベルに関わらず、双方の教会のより良い相互理解を育てるためになされてきました。 これらの試みは、全ての人が従うべき主の意思を実現するために、特にアンティオキアの聖なる総主教座内において、正教会が招命を受けていることへの当然の対応なのです。子が「私と父とは一つである(ヨハネ10:30)」ように。

 キリストが生まれ、説教し、苦しみ、葬られ、死から復活し、天に昇り、命を分け与える聖霊を彼の聖なる使徒たちに送ったこの私たちの東方地域で、キリストの証人となることが、私たち及びシリア正教会内の私たちの兄弟姉妹の義務なのです。

 これまでの全ての会合、友愛、口頭及び書面での宣言は、歴史には私たちの統一の側面よりも分裂の側面の方が多いとしても、私たちが一つの信仰に属していることを示しています。

  アンティオキア総主教座内において統一へと向かう私たちの教会の進歩を証明するため、アンティオキア聖主教会議が開催されました。双方のアンティオキア教会は互いの姉妹教会から恩恵を受け合い、伝統、文書、そして聖なる典礼を豊かとし合い、そしていずれの教会も本物のオリエンタルな遺産を保持しているのです。

 この二つの教会の結合へと向かう全ての試みと追求は、この方向が聖霊から与えられたものであるという確信に基づいており、東方正教会のイメージをより明るく、晴れやかなものとするでしょう。こうした明るさを、私たちは何世紀もの間失っていたのです。

 この二つの教会の間で行われた結合へと向かう努力を認識し、そしてこの方向が聖霊によって与えられたことを確信し、そしてこの方向こそが何世紀もの間影に覆われていた東方のキリスト教世界に明るいイメージを投影することを確信し、アンティオキア教会の聖主教会議は、信徒たちの啓発のためにこの二つの教会(シリア正教会と東方正教会)の親密な友愛を具体的な形にすべきだと判断しました。

 そして、以下のような決定がなされました。

1. 私たちは、双方の教会の精神性、遺産、そして聖教父たちを完全に、相互に尊重することを断言します。 ビザンティンとシリアの礼拝式の一貫性は、いずれも守られるべきです。

2. 双方の教会の教父たちの遺産と彼らの伝統は全て、キリスト教教育カリキュラムと神学研究に組み込まれるべきです。 教授や学生の相互交流を推進すべきです。

3. 双方の教会は、その個人的な動機や理由に関わらず、相手の教会から自分の教会にその信者の所属を変更することを控えることになります。

4. 必要な時には、両方の教会の合意により、それぞれの主教会議のレベルでこの二つの教会間の会合が開催されます。

5. いずれの教会も、それぞれの信徒に対して、個人的事柄(結婚、離婚、養子縁組など)に関してはその基準と権威を保持し続けます。

6. 双方の教会の主教が聖なる洗礼式や葬儀に同時に参加する場合は、洗礼される者や死去した者が属する教会の主教が執り行うこととします。 結婚式の場合には、花婿が属する教会の主教が行うこととします。

7. 上記の取り決めは聖餐での共同祭儀には適用されません。

8. 主教に適用される取り決めは、双方の教会の司祭にも等しく適用されます。

9. いずれかの教会の一人の司祭しか存在しない地域においては、その司祭が両方の教会の信者のために祭儀(聖餐、司祭の職務、結婚式を含む)を行います。 その司祭は、それぞれの教会用に記録を取り、許可を受けるために姉妹教会にはその記録を送ることになります。

10. 一つの教会しかない地域にそれぞれの教会の二人の司祭が存在するような場合は、彼らは教会施設を交代で利用することになります。

11. 一つの教会からは主教、もう一つの姉妹教会からは司祭が参加し、同じ祭式を行う場合は、そこが司祭の教区であっても主教がその祭式を執り行います。

12. 聖職への授任式は、それぞれの教会の権威を持った者によって行われます。 姉妹教会のメンバーにも参加するよう、招待することが望ましいでしょう。

13. 洗礼式の名付け親や結婚式の付添い人は、姉妹教会から選んでも構いません。

14. 双方の教会は互いに訪問し合い、社会的、文化的、教育的な活動において様々な領域で協力することとします。 私たち姉妹教会及びその他の教会との関係を強め続けて下さるよう、神の助けを祈り求めます。私たち全てが一人の羊飼いの下で一つのコミュニティとなることができますように。

ダマスカス 1991年11月12日

ギリシア・アンティオキア教会総主教 イグナティウス4世
アンティオキア・シリア正教会総主教 イグナティウス・ザッカー・イワス


 

(英語原文はこちら:http://sor.cua.edu/Ecumenism/19911112SOCRumOrthStmt.html


   
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