シモンファーザー
シモンファザーに聞いた話
   聖マルコ修道院で私たちの指導司祭であるシモンファーザーに聞いたお話です。

 

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■新約聖書と外典・偽典 

注:
シリア正教会の聖典は、もちろん聖書であり、その中に含まれている書物はカトリックと同じ旧約と新約です。
一方、シリアの教会では、聖書の登場
人物のその後の宣教や殉教などについて、聖書に書かれていない物語を耳にする機会がしばしばあり、このような伝承の豊かさはシリア教会の魅力のひとつとなっています。
聖書の中の各書物の位置づけや、新約外典・偽典と呼ばれることの多い書物について、シリア正教ではどのように考えているのか、指導司祭に聞いてみました。

Q.使徒書簡は福音と同様に「真実である」と信じるべきものなのでしょうか。
A.私達の主イエスキリストによって語られた命の言葉をまず何よりも信じなければなりません。次に使徒書簡は聖なる人々によって語られた聖なる言葉として尊重されます。しかし、何よりも福音の生きた言葉が重要です。次に書簡や黙示録が来ます。

Q.トーマスの伝記やイエスの幼児物語、マリアの生い立ちなどの伝承は本当の話であると考えて良いのでしょうか?
A.それらを信じることは重要ではありません。福音や書簡、黙示録などの聖書に書かれている以外のことは、私達の信仰を拘束するものではありませんから重要ではありません。私達はシリア語のイエスの幼児物語を所有していますが、イエスの子供時代の真実を知らない人によってかかれたものでしょう。多くの人がいろいろな物語を書きました。
 聖トーマスの福音書というものさえどこからか発見されたとのことですが、私達の教会では伝えられていません。聖ペトロの福音書というものをギリシャ正教は持っていると聞いたことがありますが、普遍教会では承認されてはいません。バルナバの福音書というものについては、大変危険な書です。キリスト教徒でない人々によって、モハメットより後の時代にかかれたものであるにもかかわらず、このようなタイトルがつけられています。そこで語られていることは全くイエスにも聖書にも反しています。いかなるキリスト教徒にも決して承認されるべきものではありません。イスラム教にさえ反しています。キリスト教徒とイスラム教徒の間に戦いと問題を起こさせようとした、悪魔の手下によって書かれたとしか言いようが無いものです。
ニコデモ、聖ステファノ、マタイ、ニコデモの息子の体の発見と言った物語は私達の教会にあります。ただし、これらは福音ではありません。

Q. ペトロやアンドレア、トーマスの物語についてはどうなのでしょうか?これらの話が信頼できるものなら状況や詳細についての理解が深められるので興味深いと思うのですが?
A.聖トーマスがイエスにより船でインドに送られ、インドの王のために城を作った話はすばらしい物語です。日本語に訳されているのですか?あなたの言葉で読めるとは、すばらしいですことですね。
 その他にも、私たちの教会にはポンティウス・ピラトから送られた手紙というものがあります。イエスの処刑についての話です。これについてはまたいつかご説明しましょう。

2006年3月10日聖マルコ修道院にてシモンファザーに聞いた話 

   
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