福音記者聖ルカが描いたと伝えられるイコン.(エルサレム聖マルコ教会)
シリア正教とは何か ―その波乱万丈の歴史と豊かな文化―
   この章はSyriac Orthodox Resources At a Glance を訳したものです。

 

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信仰と教義
 シリア正教の信仰はニケア信条と一致しています。父、子、聖霊と呼ばれる三つのペルソナによって構成された一人の神である三位一体を信じます。一つの本質からなる三つの存在は、一つの神性を持ち、一つの意思を持ち、一つの働きと一つの主性を持っています。最初のペルソナの特性はその父性であり、二つ目のペルソナの特性はその子性であり、三つ目のペルソナの特性はその発出性(Procession)です。

 シリア正教会は、受肉の神秘を信じます。すなわち、神の唯一の子、聖三位一体の二番目のペルソナは、肉体を纏って人となったと信じます。シリア正教会は、天使ガブリエルが処女マリアの元へ派遣されて受胎告知を行う時に、聖霊がやって来て彼女の自然に由来する不純物を全て取り除き、彼女を浄化したと信じます。そして神の唯一の子は降臨し、彼女の汚れていない子宮に入り、彼女を通じて肉体を纏ったので、彼は完璧な魂を持った完璧な人間になったと信じます。9ヶ月後にキリストはマリアから生まれ、そしてマリアの処女性は自然に反して維持されたと信じます。シリア正教会は、キリストの真の神性と真の人性は、彼の中で本質的に統合されていると信じます。キリストは一人の主であり一人の子であり、彼の中で統合がなされてから一つの自然受肉が生じ、その後も彼は一人のペルソナであり、一つの意思と働きを持っていたと信じます。この統合は、一切の分離、混入、混合、変化、変容を伴わない、ペルソナの自然な統合であったと信じます。

 シリア正教会は、マリアを「yoldath aloho」、すなわち「神をもたらした人」と呼びます。なぜなら、彼女が真に受肉した神であるキリストを生んだからです。

 シリア正教会は、キリストの死は肉体からの魂の分離であり、しかしながら彼の神性は彼の肉体からも魂からも何時いかなるときにも離れることはなかったと信じます。シリア正教会は、キリストが私たちのために死んだことによって、彼は私たちに永遠の死からの救済と彼の天国の父との和解をもたらしてくれたと信じます。 シリア正教会は、聖霊は聖三位一体の第三ペルソナであり、父から発生する真実の霊であると信じます。聖霊は、父及び子と同格であると信じます。(注:シリア語で「霊」を表す「ruho」(これには「風」という意味もある)は、文法的に女性形です。聖霊は、ほとんど全ての早期のシリア語の文書では女性代名詞によって言及されていました。その後の文書は男性代名詞で言及しています。)

 教会については、シリア正教会は、教会とはキリストの真の信者による集合体であり、教会の頭は私たちの主なる神イエス・キリストであると信じます。シリア正教会の最高位はアンティオキア総主教です。

 秘蹟に関して、シリア正教会は、聖なる秘蹟とは神の恵みを宣するために主キリストによって明示された具体的な記しであり、私たちの聖化のために与えられたものと信じます。教会の秘蹟は、洗礼、堅信礼、聖餐式、悔い改め、聖職の叙階、病人の塗油、結婚です。聖秘蹟は、主教及び司祭によって行われ、信者のみが秘蹟を受けることができるとされています。洗礼、堅信礼、悔い改め、聖餐式の4つの秘蹟が救済に不可欠なものとされます。秘蹟の中で、洗礼、堅信礼、そして聖職の叙階を受けることは一度しか許されていません。

 シリア正教会は、325年のニケア公会議、381年のコンスタンティノープル公会議、そして431年のエフェソス公会議の教義に従いますが、451年のカルケドン公会議は拒絶します。

[礼拝の形式]

(英語原文はこちら:http://sor.cua.edu/Intro/index.html

   
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